お客様からのメールに返信が来るたびに、同じ自動化がもう一度動いてしまう。会議のあと、出席者に送るお礼と確認のメールを、毎回ゼロから書いている。自動化を組んだことがある人なら、どちらも心当たりがあると思います。
2026年10月9日、Google Workspaceの公式ブログ「Workspace Updates」で、Workspace Studio(コードを書かずに、Gmailやドライブの決まった仕事を自動で動かす仕組み)の10月の機能追加が発表されました。増えるのは、条件分岐を何段にも組める部品、返信メールではフローを動かさない設定、Meetの招待者の一覧を使える出力、ドライブの文書を探す手順の4つです。
9月には外部サービスやWebhookとつながる追加がありました。今回はその続きで、Googleの中での自動化を「より細かく、より手間なく」する方向の追加です。この記事では、公式ブログと公式ヘルプで確認できたことだけを使って、何が増えたのか、誰がいつから使えるのか、仕事でどう使い分けるかを整理します。
何が発表された?
公式ブログによると、10月の機能追加(October 2026 feature release)に含まれるのは次の4つです。
- Nested Conditionals(条件分岐の入れ子):フローの中で、条件分岐の中にさらに条件分岐を置ける。何段にも分かれる判断の道筋を組める
- Gmail Skip Replies(返信をスキップ):Gmailのスレッドをきっかけにするフローで、後から来る返信を無視する設定。最初に届いたメールのときだけフローが動く
- Meet Calendar Outputs(会議の予定の情報):Google Meetの部品から、招待者の一覧を含むカレンダーの予定の情報を受け取れる。会議後のフォローアップメールの下書きを作るためのひな形も用意
- Search for a Doc(文書を探す):ドライブ専用の手順。決めた条件でドライブの文書を探し、見つかった文書をフローの中で使える
公式ブログは、これらの追加で「繰り返しのフォローアップ作業をなくし、文書を動的に探せるようにし、自動のやり取りをより細かく制御できる」と説明しています。

これまでと何が違う?
Workspace Studioのフローは、「きっかけ(Starter)」1つと、そのあとに続く「手順(Step)」でできています。公式ヘルプには、Geminiに内容を見てもらい「はい/いいえ」を判断させる手順(Decide)と、その結果でフローの進み方を変える手順(Check if)がすでに用意されています。
今回の追加で変わるのは、主に次の3点です。
- 判断が1段で終わらなくなる:「急ぎか?」で分けたあと、急ぎのものをさらに「見積もりの依頼か?」で分ける、といった何段かの判断を1つのフローで組める
- メールのやり取りで同じフローが何度も動く問題を避けられる:返信を無視する設定を入れると、最初のメールのときだけ動く
- 「探す」がフローの中に入る:ドライブ専用の手順として、条件に合う文書をその場で探して次の手順に渡せる

自動化は「1回目は便利、2回目以降で困る」がよくあります。返信のたびに動いてしまう問題に、公式の設定で手当てが入るのはありがたいです。
何ができるようになった?
問い合わせを、何段かに分けて振り分ける
Geminiに「見積もりの依頼か」「急ぎか」などを判断させ、その結果で次の手順を分けられます。入れ子にできるので、「見積もりの依頼で、しかも急ぎ」のときだけ担当者にチャットで知らせる、のような組み方ができます。
最初の問い合わせメールのときだけ動かす
Gmailのスレッドをきっかけにするフローで、後から来る返信を無視する設定を入れられます。受け付けの記録や担当者への連絡を、やり取りの途中で何度も繰り返さずに済みます。
会議のあとのフォローアップメールを下書きする
Meetの部品から、招待者の一覧を含む予定の情報を受け取れます。公式ヘルプには、会議の文字起こしやGeminiのメモができたときにフローを動かすきっかけもあり、「文字起こしをGeminiで要約し、出席者へのフォローアップメールを下書きする」という例が載っています。今回はそこに、招待者の一覧と、フォローアップメールの下書き用のひな形が加わります。
ドライブから、関係する文書を探して使う
「文書を探す」手順で、条件に合う文書をドライブから見つけ、次の手順で使えます。公式ブログの言葉では「文書を動的に探す」ための手順です。

仕事ではどう使えそう?
ここからは、公式情報をもとにした、KAKERUデザインとしての見立てです。
Webサイトの問い合わせ窓口の一次振り分け
サイトの問い合わせフォームから届くメールを、「制作の依頼」「採用」「営業のご案内」などに分け、制作の依頼だけをさらに急ぎかどうかで分ける。担当者が毎朝メールを開いて仕分けている会社なら、入れ子の条件分岐がそのまま当てはまります。最後の判断と返信は人がする前提で、「知らせる」「ラベルを付ける」までをフローに任せる形です。
定例会議のあとの確認メール
毎週の定例会議のあと、決まったことと次回までの宿題を出席者に送る。招待者の一覧が使えるようになったので、宛先を手で入れる作業が減ります。下書きまでをフローに任せ、送る前に人が読んで直すのが前提です。
提案書づくりの最初の「過去の資料探し」
新しい問い合わせが来たら、業種名などを条件にドライブを探し、過去の提案書や実績資料を担当者に知らせる。最初の5分の「どこにあったっけ」を減らす使い方です。ただし、探せるのはドライブに置いてあり、名前や中身で見つけられる文書だけです。
KAKERUならこう使う/使わない
KAKERUなら、使うのは「仕分け」と「下書き」までです。問い合わせの振り分け、会議後のメールの下書き、関係する資料の候補を知らせる。どれも、最後に人が見る前提で時間を減らせる所です。
使わないのは、お客様への返信を自動で送るところです。条件分岐が何段にも組めるようになると、「この場合はこう返す」まで自動にしたくなります。けれど、判断を間違えたまま送られたメールは取り消せません。返信は下書きで止め、送るのは人、という線は変えません。
もう1つ、「文書を探す」は、資料の置き場所と名前の付け方が決まっている会社ほど役に立つ手順です。資料が人ごとのフォルダやメールの添付に散らばっていると、フローは見つけられません。自動化の前に、資料の置き場所を1か所にそろえるほうが先です。
KAKERUの関連サービス
「あの資料、どこ?」が多い会社へ
社内の資料を1か所にまとめて、必要な人が自分で探せるようにするKAKERUのサービス、SUGU MITSUKARU。
誰が使える?
- 対象:Workspace Studioを使えるすべてのGoogle Workspaceの顧客と、Workspace Individualの契約者
- 提供時期:Rapid Release・Scheduled Releaseとも、2026年10月13日から順次(表示されるまで最大15日)
- 利用者:初期設定でオン。Workspace Studioのフローの作成画面から使える
- 管理者:Workspace Studio全体の、組織や部門ごとの設定に従う。前提になる部品の管理者向け設定は、今回の機能より前に提供済み
9月の外部サービス連携やWebhookと違い、今回の4つは利用者側の追加の設定なしで使えると案内されています。ただし、そもそも会社でWorkspace Studioが使えるようになっているかは、管理者の設定次第です。

「うちの会社で使える?」は、まずWorkspace Studioの画面が開けるかどうかで分かります。開けるなら、10月13日以降に今回の部品が順に増えていく形です。
注意点
Geminiの判断は、間違えることがある
条件分岐の判断にGeminiを使う場合、判断が正しいとは限りません。何段にも分けるほど、途中の判断の誤りが後ろに響きます。最初は、間違えても困らない「知らせる」「ラベルを付ける」程度の手順から試すのが安全です。
メールの下書きは、そのまま送らない
フォローアップメールのひな形は、下書きを作るためのものです。決まったこと・数字・日付は、会議のメモや資料と突き合わせてから送ってください。
日本語の画面名は確認できていない
この記事の部品の名前は、英語の公式ブログの表記をもとに訳したものです。日本語の画面での表示名は、公式の発表では確認できていません。
まとめ
Workspace Studioに、条件分岐の入れ子、返信をスキップする設定、Meetの招待者の一覧を使える出力、ドライブの文書を探す手順の4つが加わります。提供は2026年10月13日から順次で、Workspace Studioを使える人なら初期設定でオンです。
どれも「繰り返しの手作業を減らす」方向の追加ですが、任せるのは仕分けと下書きまで、送るのと決めるのは人、という分け方がちょうどいい所です。まずは、毎回同じ手順で仕分けているメールを1つ選んで、フローに置き換えられるか確かめてみてください。
参考・情報源
- Google Workspace Updates「New logic and search steps in Workspace Studio help expand automation capabilities」(2026年10月9日)
https://workspaceupdates.googleblog.com/2026/10/new-logic-and-search-steps-in-workspace-Studio-help-expand-automation-capabilities.html
※4つの追加の内容・対象・提供時期・管理者と利用者の設定 - Workspace Studio ヘルプ「Guide to Starters & Steps in Workspace Studio」
https://support.google.com/workspace-studio/table/17176961
※きっかけと手順の一覧、Decide・Check if、会議の文字起こしやメモをきっかけにする例
※ 情報は2026年10月10日に確認したものです。
ふだんの制作の話や、作ったものの裏側は Instagram と X でも出しています。


















前回の外部連携は「管理者がオンにしないと始まらない」機能でした。今回は利用者側で初期設定からオン、というのが大きな違いだと感じています。