フリーランスに頼んで、その人が倒れたらどうなる?頼む前に確かめたい5つのこと

フリーランスに頼んで、その人が倒れたらどうなる?頼む前に確かめたい5つのこと

「仕組みを作ってもらいたい。でも、頼む先は個人でいいのか、それとも会社にするべきか」。Webやシステムを外に頼もうとしたとき、ここで迷う方は多いと思います。

先に結論を書きます。個人か会社かで決めるより、「頼んだ人がいなくなっても、仕組みが止まらない形になっているか」を確かめるほうが大事です。

僕はKAKERUデザインとして、個人でWebサイトや社内の仕組みを作っています。つまり、この記事でいう「個人」の側です。先日、自分で作った資料管理のシステムを提案して、まさにこの点で決まらなかった経験をしました。その話をきっかけに、頼む側が確かめておきたいことをまとめます。

提案は盛り上がった。でも、決まらなかった

提案したのは、資料や写真を1つの場所にまとめて、必要な人にURLで渡せるシステム「SUGU MITSUKARU(すぐ見つかる)」です。

相手は、昔からお付き合いのある会社です。社長、秘書の方、現場の写真を担当している方の3人に聞いていただきました。

反応は、思っていた以上によかったです。画面の見た目や操作のしやすさを褒めていただき、今お使いの大手の共有サービスより直感的に使えそう、という声もいただきました。気づけば2時間ほどたっていました。

ただ、導入には至りませんでした。

提案は盛り上がったが、「今じゃなくていい」「移行が手間」「人数が少なく効果が小さい」で見送りになった流れ
トミー

盛り上がったぶん、正直ちょっと期待していました。
でも、「いいね」と「入れよう」は別ものなんですよね。

決まらなかった理由を、あとから考えてみた

はっきり断られたわけではありません。ここから書くのは、話をしていた僕の感触です。

「今じゃなくていい」

今の仕組みでも、仕事は回っています。困っていないわけではないけれど、今すぐ変える理由もない。良いものだと思っても、「今」でなければ後回しになります。

今の仕組みから移す手間

今お使いの共有サービスには、これまでの資料がたくさん入っています。それを移すのは、どうしても面倒に見えます。移せることは調べて提案しましたが、「手間がかかりそう」という印象は、説明だけではなかなか消えません。

使う人数が少ないと、効果も小さい

この手のシステムは、使う人が多いほど効果が大きくなります。資料を探す人、聞かれて手を止める人が多いほど、減らせる時間も増えるからです。

今回の会社は、使う人数がそれほど多くありません。システムが悪かったというより、相手との組み合わせが合っていなかったのだと思います。ここは、提案する側の僕の反省点です。

本当の迷いは「誰に頼むか」だった

もう1つ、あとから気づいたことがあります。

その会社は、似たようなことを別の支援会社にも頼んでいました。そして、僕ができることと、その支援会社ができることが重なっていました。

つまり、迷いは「このシステムを入れるかどうか」だけではありませんでした。「頼むなら、末富さん(個人)か、支援会社(会社)か」という、頼む相手選びでもあったのです。

個人と会社には、それぞれ強みと弱みがあります。

個人に頼む場合と会社に頼む場合の、強みと注意点の比較
個人に頼む会社に頼む
強み小回りが利く。自社のやり方に合わせて作り込める。費用を抑えやすい。作った本人と直接話せる担当者が休んでも、辞めても、ほかの人が対応する。会社としての信用がある
弱みその人に何かあったとき、止まるおそれがある決まった形に合わせることが多い。費用が高くなりやすい。間に人が入る

どちらが正しい、という話ではありません。何を大事にするかで、答えが変わります。

会社に頼めば安心、とも限らない

ここまで読むと、「やっぱり会社に頼んだほうが安心」と感じるかもしれません。ただ、会社でも同じことは起きます。

国の統計では、デザイン業の事業所の9割以上が10人未満です(2021年 経済センサス。デザイン白書2024より)。僕が見てきた範囲でも、デザイン事務所はデザイナー2〜3人、プログラマー1〜2人、ディレクター1〜2人くらいの構成が多いと感じます。

この規模だと、1人抜けるだけで大きく変わります。特にデザインは、感性や経験が仕上がりに出やすい仕事です。主力のデザイナーが1人いなくなると、事務所としての力が一気に下がることもあります。

小さなデザイン事務所で主力デザイナーの席が空き、1人の抜けが仕上がりに出やすいことを表した図

実際、僕が関わってきた会社で、外部に頼んでいた制作物の仕上がりに「あれ?」と感じたことがありました。話を聞いてみると、主力のデザイナーの方が退職されていたそうです。

これは、その事務所が悪いという話ではありません。人が辞めるのは、どの会社でも起きることです。小さな組織ほど、その影響がそのまま仕上がりに出やすい、というだけです。

そして、これはKAKERUも同じです。デザインは僕の感性と経験に頼っている部分が大きく、そこは誰かがすぐに代われるものではありません。

だからこそ、頼む側は「個人か会社か」だけでなく、次のことも聞いてみてください。

  • 実際に作っているのは誰か
  • 担当が変わるときは、知らせてもらえるか
  • デザインのルール(色・書体・雰囲気)を、資料として残してもらえるか

個人に頼むときの一番の不安は「その人が倒れたら?」

個人に頼むとき、頼む側がいちばん気にするのは、たぶんこれです。「この人が倒れたら、どうなるの?」

社長の立場なら、考えて当然のことです。会社の資料を預ける仕組みが、1人の体調しだいで止まるかもしれない。それは小さくないリスクです。

そして、この不安は面と向かっては聞きにくいものです。「あなたが倒れたら困る」とは、なかなか言えません。だから口には出ないまま、「今回は見送り」になりやすいのだと思います。

トミー

評価していないから迷うのではなく、評価しているからこそ迷う。
頼む側に立って考えると、よく分かります。

頼む前に確かめたい5つのこと

では、個人に頼むときは何を確かめればいいのか。「その人がいなくなっても、仕組みが止まらないか」を、次の5つで確かめてみてください。会社に頼む場合にも、そのまま使えます。

頼む前に確かめたい5つのこと(置き場所・データ・引き継ぎ資料・プログラム・代わりの窓口)

1. システムとデータは、どこに置かれるか

自社で契約しているサーバーに置くのか。頼んだ相手のサーバーやサービスに置くのか。自社のサーバーにあれば、頼んだ人が動けなくなっても、システムは動き続けます。相手のサービスに置く場合は、その人や会社が続けられなくなったとき、一緒に止まるおそれがあります。

2. データを、自分たちで取り出せるか

相手に頼まなくても、自分たちの手でデータを丸ごと保存できるか。いざというときに別の仕組みへ移せるかどうかは、ここで決まります。

3. 引き継ぎのための資料があるか

仕組みの全体の説明、使い方、設置の手順、バックアップの手順。こうした資料があれば、別の人や会社に引き継ぐときの手間が大きく減ります。「作った人の頭の中にしかない」状態が、いちばん危険です。

4. プログラム一式を渡してもらえるか

作ってもらったプログラムを、最終的に誰が持つのか。契約のときに決めておかないと、あとで引き継ぎたくても手元に何もない、ということが起こります。

5. 窓口が止まったとき、代わりはいるか

頼んだ人が対応できないとき、問い合わせを受けられる人がいるか。1人で全部を抱えているのか、ほかにも中身を知っている人がいるのかで、安心感はまったく違います。

頼む前のチェックリスト

① 置き場所
システムとデータは、自社のサーバーに置かれるか

② データ
自分たちの手で、丸ごと取り出せるか

③ 引き継ぎ資料
別の人が読んで分かる説明や手順があるか

④ プログラム
一式を渡してもらえる約束になっているか

⑤ 代わりの窓口
その人が動けないとき、対応できる人がいるか

KAKERUの場合は、こう答えています

頼まれる個人の側として、KAKERUがSUGU MITSUKARUでこの5つにどう答えているかも書いておきます。

KAKERUがSUGU MITSUKARUで用意している、止まらない仕組みにする5つの答え

1. 置き場所:お客様のサーバーに置きます

SUGU MITSUKARUは、お客様が契約するサーバーに設置します。僕が動けなくなっても、システムは止まらずに動き続けます。

2. データ:管理画面から丸ごと書き出せます

管理者の画面から、すべてのデータを1つのファイルとして保存できます。元に戻す手順も決めてあります。

3. 引き継ぎ資料:そろえています

仕組みの説明、使い方のマニュアル、サーバーへの設置手順、バックアップの手順、セキュリティの説明を用意しています。特別な作り方はせず、Webでよく使われている仕組みで作っているので、ほかの制作会社でも引き継げます。

4. プログラム:どこまでお渡しするかは、契約のときに決めます

お渡しする範囲は、ご契約のときに相談して決めます。
あとから「手元に何もない」とならないよう、最初に話しておきたいところです。

5. 窓口:もう1人が、サービスの中身を把握しています

KAKERUでは、僕のほかにもう1人がサービスの中身を把握しています。
僕が対応できないときでも、窓口が止まらないようにしています。

できないことも、書いておきます

ただし、僕が動けない間は、機能の追加や大きな修正は止まります。

急ぎの不具合に、担当者が何人もいる会社と同じ速さで対応できないこともあります。
ここは、個人に頼むときに受け入れていただく部分だと思っています。

トミー

弱いところを先に書くのは、少し勇気がいります。
でも、聞きにくいことに先に答えておくほうが、お互いに話が早いと思って。

会社に頼んだほうが合う場合もある

ここまで書いておいてなんですが、会社に頼んだほうが合う場合もあります。

  • 夜間や休日でも、すぐに対応してほしい
  • 使う人がとても多く、少し止まるだけで大きな損失になる
  • 社内に、システムのことを見られる人がまったくいない
  • いくつものシステムを、まとめて1社に任せたい

こうした場合は、担当者が何人もいる会社のほうが安心です。反対に、自社のやり方に合わせて作り込みたい、作った人と直接話して進めたい、費用を抑えたい。そういう場合は、個人に頼むよさが生きます。

まとめ

個人に頼むか、会社に頼むか。迷ったときは、どちらかを選ぶ前に、「頼んだ人がいなくなっても、仕組みが止まらない形になっているか」を確かめてみてください。

置き場所、データ、引き継ぎ資料、プログラム、代わりの窓口。この5つにきちんと答えられる相手なら、個人でも会社でも、安心して任せやすくなります。

頼む側は、この5つを遠慮せずに聞いてください。聞きにくいことこそ、先に聞いておいたほうがお互いのためです。

今回の提案で使ったSUGU MITSUKARUについては、作った理由やできること・できないことを、こちらにまとめています。

あの資料、どこ?がなくなる。|SUGU MITSUKARU

外に頼むかどうかで迷っていることがあれば、お気軽にご相談ください。個人に頼むか、会社に頼むかも含めて、一緒に考えます。

関連記事

「あの資料、どこ?」が毎回起きる理由|フォルダ分けとファイル名では解決しない
Claude Codeで社内システムを作れた。でも、使ってもらえなかった理由
フリーランスに頼んで、その人が倒れたらどうなる?頼む前に確かめたい5つのこと

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA