AIに企画書を作ってもらった。文章は間違っていない。レイアウトも一応そろっている。でも、なぜか。
「なんかダサい」。
そんな経験はないでしょうか。KAKERUデザインでも、Claudeで資料を作るようになってから、何度も同じ感覚に出会いました。内容には文句がないのに、完成した資料を並べて眺めると、どうにも垢抜けない。
WEB・デザイン制作を20年以上やってきた目で見直すと、AIで作った資料が「それっぽいのに垢抜けない」理由には、いくつか共通点がありました。今回はそれを5つに整理します。
先に言っておくと、これはAIがデザインできないという話ではありません。「何をどう見せるか」という判断基準を渡していないと、資料は自然と平坦になる、という話です。ClaudeでもChatGPTでもGeminiでも、起きることは同じだと思います。
関連記事:Claudeで企画書を作ったら、ここまでできた|デザイン判断をSkill化して資料作成
※本記事で使用しているブランド名・企画内容・数値・実績は、資料制作サンプルとして作成した架空のものです。
理由1|全部の情報が「同じ強さ」になっている
いちばん多いのがこれです。タイトルも、本文も、数字も、補足説明も、きれいに並んではいる。でも重要度に差がないので、どこを見ればいいのか分からない。

内容は合っているのに、なぜか目が止まらない。この状態です。
架空のSNSキャンペーン企画書「MOCOMORE うちの子モンスターハロウィン2026」を例にします。目的のページで一番大事な情報は、フォロワーを1,250人から2,000人に増やすこと、そして足りないのが750人だということです。
この数字を本文の一部として書いてしまうと、ただの一文になります。だから「+750」をページの中で最も大きく置きました。

ここで大事なのは、派手にするために大きくしているのではないということです。「このページで一番大事なのはこれです」と、読む前に伝えるために大きくしています。文字の大きさは装飾ではなく、優先順位を示す道具です。
試してみるなら、自分の資料を縮小表示して眺めてみてください。文字が読めない状態でも「ここが大事なんだな」と分かれば、強弱がついています。全部同じ灰色の面に見えたら、まだついていません。
理由2|全ページが同じレイアウトになる
生成AIに資料を作らせると、「見出し → 説明文 → カード3つ」のような構成が繰り返されやすくなります。1ページだけ見れば悪くありません。ただ、9ページ並べると単調に見えてきます。
資料の中身はページごとに違うはずです。数字を伝えたいページ、比較したいページ、流れを説明したいページ、指標を整理したいページ。それぞれ最適な見せ方は違います。


レイアウトはテンプレートから選ぶものではなく、伝えたい内容から選ぶもの。ここはデザイナーとして結構気になるところです。
AIに「かっこいい企画書を作って」と頼むと、たいてい無難で均質な形に落ち着きます。悪気があるわけではなく、どのページをどう見せたいかを伝えていないからです。ページごとに「これは何を伝えるページなのか」を決めてから頼むと、出てくるものが変わります。
理由3|文章で説明しすぎる
AIは文章を書くのが得意です。得意だからこそ、資料でも何でも文章で説明しようとします。
たとえば応募からCM公開までの流れは、こう書くこともできます。「募集開始後、ユーザーがハロウィン動画を投稿し、公式アカウントで紹介した後、応募締切を経てWEB CMを制作して公開する」。間違ってはいません。ただ、資料でこれをやると、読まないと分からない状態になります。

資料は読むものでもありますが、「見て理解するもの」でもあります。順番そのものが情報なら、順番が見える形にしたほうが速い。左のページも内容は正しいのですが、目で追う手間が増えます。
ただ、文章を減らすこと自体が目的ではありません。文章・図・数字・写真の中から、そのページでいちばん理解しやすい表現を選ぶことが大事です。細かいニュアンスを伝えたいところは、無理に図にせず文章で書いたほうがいい場面もあります。
理由4|余白を「空いている場所」だと思っている
これはデザインに慣れていない方だけでなく、AIにも起きやすいことです。ページの下が空いていると、「まだ入る」と考えて何かを足してしまう。

余白を見ると、つい何か入れたくなるんですよね。でも、そこを我慢することも仕事のうちだと思っています。
何も置かないことも、れっきとしたデザインです。余白には、視線を止める、情報をグループとして見せる、重要なものを目立たせる、読む負担を減らす、資料に落ち着きを出す、といった役割があります。
余白は余ったスペースではなく、情報を伝えるためのスペースです。空いているところに文章やカードや装飾を詰めるほど、情報量は増えても伝わりにくくなることがあります。

このページには要点が3つしか書いてありません。もっと書けるスペースはありますが、あえて空けています。最後に何を持ち帰ってほしいかがはっきりしていれば、それ以外は書かなくていい。埋めなかったぶん、3行が強く見えます。
理由5|「誰に何を伝える資料か」がデザインに反映されていない
最後は、見た目より一段上の話です。
企画書の目的は、おしゃれに見せることではありません。社内の企画書なら、最終的には上司や決裁者に「この企画を進めていい」と判断してもらう必要があります。
だとすると、何をするのか、なぜやるのか、目標は何か、いくらかかるのか、どう集客するのか、何をもって成功とするのか。これらが短時間で見つけられることが、その資料の性能になります。

読み手が誰で、その人が何を決めたいのか。そこが決まると、どこを大きくすべきかは自然と決まってきます。
デザインは飾ることではなく、相手が理解して判断しやすくすることです。この視点が抜けたまま見た目だけ整えると、きれいだけれど何も刺さらない資料になります。逆にここさえ押さえていれば、装飾が少なくても伝わる資料になります。
5つの理由をまとめると
1. 情報の強弱がない どこを見ればいいのか分からない
2. 全ページが同じレイアウト 内容が違うのに見せ方が同じ
3. 文章で説明しすぎる 図にしたほうが速いものまで文章にしている
4. 余白を埋めてしまう 空いている場所に足して、かえって伝わらなくなる
5. 資料の目的がデザインに反映されていない 誰が何を判断する資料かが決まっていない
裏を返すと、この5つを意識するだけでも、AIで作った資料はかなり変わります。ツールを変える必要はありません。
Claudeへ毎回指示することもできる。でも面倒
ここまで書いたことは、そのままAIへの指示にもできます。「重要な数字をもっと大きく」「ここは左右の比較レイアウトにして」「文章ではなくフロー図にして」「余白を増やして」「情報に強弱をつけて」。実際、こう伝えればかなり改善します。

ただ、資料を作るたびに同じことを言うのが、だんだん面倒になってきまして。
しかも指示の細かさがその日の気分で変わると、資料の質も揺れます。そこでKAKERUデザインでは、こうしたデザイン判断そのものをClaude Skillとして整理しました。情報の優先順位、余白の取り方、文字サイズの段階、数字の見せ方、比較レイアウトを選ぶ条件といったものです。
魔法のファイルではありません。毎回口で伝えていた判断基準を、Claudeが参照できる形にまとめただけです。社内のデザインルールを文書化して新しいスタッフに渡す作業に近くて、渡す相手がAIになったという感覚です。
実際にこのSkillを使ってどんな企画書を作ったのかは、前回の記事で詳しく紹介しています。Claudeで企画書を作ったら、ここまでできた|デザイン判断をSkill化して資料作成
今回使用しているSkillは、現在一般の方にも使っていただける形に整理しています。KAKERU Presentation Skill、近日公開予定です。
まとめ|「作れるか」より「どう見せるか」
AIで作った資料がダサくなるのは、AIだからではありません。判断基準を十分に渡していないからです。
資料を作るハードルは、これからさらに下がっていきます。だからこそ「作れるかどうか」より「何をどう見せるか」のほうが重要になっていくのだと思います。
何を大きくするか。何を削るか。何を図にするか。どこに余白を残すか。誰が何を判断する資料なのか。こうした判断を自分の中に持っておくと、AIで作る資料は驚くほど変わります。

まずは1ページだけでいいので、「このページで一番大事なのはどれか」を決めてから作ってみてください。それだけでも変わります。















最初は「AIだからこんなものかな」と思っていたんですが、よく見ると原因はもっと具体的でした。