「社員にAIを使ってほしいけど、何から教えればいいのか分からない」。「自分でも、ちゃんと基礎から学んだことがない」。AIを仕事に入れようとすると、多くの会社でこの壁に当たります。
2026年9月21日、OpenAIはOpenAI Academyに、仕事の立場ごとの新しい学習パスを追加しました。これまでの「AIを仕事に活用」に、開発者・リーダー・教育者・大学生向けのコースが加わった形です。コースは無料で、評価テストに合格するとコースバッジがもらえます。
9月23日には「OpenAI Academyの2年間」として、開始からの利用者が400万人を超えたことも発表されています。この記事では、OpenAIの発表文(日本語版)とヘルプセンターをもとに、どんなコースがあるのか、誰がどう受けられるのか、会社で使うならどう組み合わせるかを整理します。
何が発表された?
2026年9月21日、OpenAI「新たな学習パスによる OpenAI Academy の拡充」の要点です。
- 職務別の学習パス:ナレッジワーカー向けの「AIを仕事に活用」に、開発者向けの「AIで構築」、リーダー向けの「AI導入を主導」、教育者と学生向けの「AIで教え、学ぶ」が加わった
- 学び方:「AIを学ぶには、AIを使う」という考え方。実際の課題で、指示を出す・背景情報を加える・結果を確認する練習をする
- 評価テストとバッジ:コースの評価テストに合格すると、OpenAI Academyのコースバッジを獲得できる
- 組織での導入:新人のオンボーディングに「AIを仕事に活用」、開発者に「AIで構築」、経営層や推進役に「AIリーダーシップ」、という組み合わせ例を公式が紹介
- 導入ガイド:コースの紹介、リーダーやマネージャーの巻き込み方、参加者の広げ方、進み具合の追い方をまとめた「OpenAI Academy 導入ガイド」も用意

9月23日の「OpenAI Academyの2年間」では、2024年9月の開始から250回を超えるイベントを開き、400万人以上がAcademyのコンテンツを利用したとしています。次の段階として、地域の団体の人がAcademyの教材を教えられるようにする「コミュニティトレーナープログラム」を試験的に始めることも発表されました。こちらは、発表文では米国の地域での展開として書かれています。
これまでと何が違う?
使う側にとっての違いは3つです。
1. 「AIの使い方」から「自分の仕事での使い方」へ
これまでのAcademyは、誰でも受けられる基礎の学習が中心でした。今回、開発者・リーダー・教育者・学生と、立場ごとの入口ができました。リーダー向けのコースでは、施策を事業の優先事項に結び付け、責任体制とガバナンスを決め、初期のAI戦略と導入ロードマップを作る、とされています。
2. 「できることを知る」で終わらず、判断まで練習する
ナレッジワーカー向けの学習パスでは、基礎の次に、うまくいったやり方を「再利用できる業務フロー」にする練習があります。さらに進むと、エージェントに大きな作業を任せるときに「何を任せ、どこで人が確認するか」を決める練習をします。発表文には「最終結果への責任を維持しながら」とあります。
3. 学んだことを、バッジで示せる
コースを終えて評価テストに合格すると、デジタルのバッジが届き、LinkedInなどで共有できます。ただしヘルプセンターには、このバッジは資格(Certification)ではないとはっきり書かれています。

2番の「どこで人が確認するか」を練習する、という作り方がいいと思いました。AIの講座は「こんなことができる」で終わりがちですが、仕事で困るのは、任せたあとの確かめ方なので。
どんなコースがある?
OpenAIヘルプ「OpenAI Academy courses」に載っているコースと目安の時間です。
| 学習パス | コース | 目安の時間 |
|---|---|---|
| AIを仕事に活用 | AI基礎/応用のAI基礎/エージェントと業務フロー | 60〜90分ずつ |
| AIで構築(Codex) | Codexを始める/Codexの業務フローを広げる/チームと仕組みでCodexを広げる | 80〜100分ずつ |
| AIで構築(API) | AIの解決策を設計/AIアプリの評価/エージェントの設計と構築/RAGで構築/性能の最適化 | 30〜110分ずつ |
| AI導入を主導 | AIリーダーシップ | 約180分 |
| AIで教え、学ぶ | 教育者向けAI/大学生向けAI | 45分ずつ |
リーダー向けの「AIリーダーシップ」のページには、受講の前提として「AI基礎を終えている、または仕事でAIを使った経験があること」と、「事業の優先事項1つと、それに関わる困りごとや繰り返しの作業を2〜3個」用意すること、が書かれています。実際の案件を持ち込めない人向けには、架空の会社の事例も用意されています。
仕事ではどう使えそう?
ここからはKAKERUデザインとしての見立てです。
1. 社内のAI研修の「最初の1時間」に
「AIを仕事に活用」の最初のコース「AI基礎」は、60〜75分で、AIの基本、指示の出し方、背景情報の渡し方、責任ある使い方を扱います。
社内で一から研修を作る前に、まず全員にこれを受けてもらうと、話の前提がそろいます。
2. 経営者・推進役は「AIリーダーシップ」で自社の計画を作る
このコースは、実際の事業の優先事項を持ち込んで、AI戦略の下書きまで作る作りです。
「AIで何かやりたいけど、どこからか決まらない」という会社なら、3時間ほどで社内に説明できるたたき台ができます。
3. 学校や塾、教室の先生に
「教育者向けAI」は45分で、授業の計画、アクティビティや評価課題の作成、連絡文の調整を扱います。
何を授業に取り入れるかは先生自身が判断する、という前提で作られています。
4. バッジは「学んだ記録」として使う
社員が受けたコースをバッジで確認できるので、研修の進み具合をそろえやすくなります。
ただし資格ではないので、採用や評価の条件にするより、社内の学びの記録として使うのが正確な使い方です。
5. 同じ会社の中でアカウントをそろえる
進み具合とバッジは、サインインしたメールアドレスにひもづき、あとから別のアカウントとまとめられません。
会社で受けてもらうなら、どのアカウントで受けるかを先に決めて案内しておくと、あとで困りません。

1番と2番の組み合わせは、KAKERUがお客様にAIの話をするときの順番とも近いです。全員が基礎をそろえ、決める人が計画を作る。人に勧めるなら、まず自分で1本受けて、作りを確かめてからにしたいところです。
誰が使える?

ヘルプセンターには「ChatGPTのアカウントがあれば、世界中の誰でも受けられる」「無料で、ワークスペースに入っている必要はない」とあります。個人でも、会社として受けることもできます。
注意点
- バッジは資格ではない:ヘルプに「資格ではなく、将来の資格の受験資格を保証するものでもない」と明記
- アカウントは最初に決める:進み具合とバッジはメールアドレスにひもづき、あとからまとめられない
- コースのページは英語:2026年9月25日に確認した範囲では、コースのページは英語。発表文には日本語版がある
- 「完了」を押し忘れない:終わったあとに「Complete now」を押さないと完了にならないことがある、とヘルプ
- コミュニティトレーナーは米国の話:9月23日の発表の地域トレーナー制度は、米国での試験的な取り組みとして書かれている

「コースは英語」は、社内で勧めるときに一言添えたいところです。ChatGPTの翻訳を横に置きながら受ける、という案内の仕方もありだと思います。
まとめ
- 2026年9月21日、OpenAI Academyに職務別の学習パス。ナレッジワーカー・開発者・リーダー・教育者と学生
- コースは無料。ChatGPTのアカウントで受けられ、会社の契約は要らない
- 評価テストで80%以上ならコースバッジ。ただし資格ではない
- 社内研修は「AI基礎」で前提をそろえ、決める人は「AIリーダーシップ」で計画を作る
- コースのページは英語。アカウントは最初に決めてから受ける
「AIを学ぶには、AIを使う」。今回の発表を一言にするとこれです。まずは60分の「AI基礎」から、自分の仕事の課題を1つ持ち込んで受けてみてください。
参考・情報源
- OpenAI「新たな学習パスによる OpenAI Academy の拡充」(2026年9月21日)
https://openai.com/ja-JP/index/expanding-openai-academy-with-new-learning-paths/
※学習パスの内容・組織での組み合わせ - OpenAI「OpenAI Academy の2年間」(2026年9月23日)
https://openai.com/ja-JP/index/two-years-of-openai-academy/
※利用者数・イベント数・コミュニティトレーナー - OpenAIヘルプ「OpenAI Academy courses」
https://help.openai.com/en/articles/20001270-openai-academy-courses
※無料・受け方・評価テスト・バッジ - OpenAI Academy コース一覧
https://academy.openai.com/pages/courses - OpenAI Academy「AI Leadership」
https://academy.openai.com/public/courses/ai-leadership-kaf7k
※前提・準備するもの
確認日:2026年9月25日。提供状況は変わることがあります。最新の情報は公式ページでご確認ください。
ふだんの制作の話や、作ったものの裏側は Instagram と X でも出しています。



















KAKERUはClaude中心ですが、世の中の会社ではChatGPTを使っているところも多いです。「社員にまず何を見せればいい?」の答えの候補として、中身を確かめておきたいと思いました。